About us

風テラスとは

風テラスは、性風俗で働く人のための相談窓口を運営するNPOです。性風俗で働く人たちが、安心して相談でき、助けを求められる社会を実現するために活動しています。

VISIONビジョン

だれもが「今日の安心」と
「明日の選択肢」を得られる社会

性風俗や売春といった「夜の世界」は、失業や生活困窮、病気や障害、家庭の事情などで、仕事や居場所を見つけることができず困難を抱えた人々が集まりやすい場所の一つになっています。

しかし、夜の世界は、慈善事業でも生活困窮者のセーフティネットでもなく、あくまで「ビジネスの世界」です。そのため、高収入を得られる人がいる一方で、最低限の生活や権利を保障されない人々が存在する現実があります。

私たちが性風俗で働く人たちの相談にのる活動を始めてから、今日という日を安心して過ごせず、明るい明日を思い描けない人たちがたくさんいることに気づきました。

そして相談者の中には性風俗で働く・働いていたということが足かせとなり、家族や友人からも孤立して、公的支援にもつながらずに、困難を深める人も少なくありません。

しかし、どんな状況の人であっても必要な時には法的・福祉的支援を受けることができる社会であるべきです。またその先にたくさんの希望や選択肢が裾野のように広がる社会であってほしいと思っています。

そこで、だれもが今日の安心と明日の選択肢を得られる社会の実現をビジョンとして掲げています。

MISSIONミッション

夜の世界で生きる人の
「今」を受け止め「次」につなげる

2025年現在、国内には性風俗に従事する女性が40万人以上いるとされています。

この中には、生活に困窮し、家族や職場に排除され、毎日を心安らかに過ごすことができずさまよう人がいます。疲れ果て、自分がどうなりたいのか、どんな将来が描けるのかもわからず、目の前の現実に身をゆだね、途方に暮れている人もいます。

そんな方々が、力と勇気をふりしぼり、私たちの窓口に「助けて」と言ってきたとき、「相談してくれてありがとう。悔しかったね。がんばってきましたね。」と私たちは声をかけます。

受けとめるだけでは何も解決しない、と思う人もいるかもしれません。

それでも、私たちは一人一人の「今」を受けとめることをやめません。受けとめることが、次に進む勇気、生きる希望になると信じているからです。

「もう大丈夫、安心して一緒に将来を考えましょうね。」そう胸を張って、励まし、支え合える社会が広がることを願い、「今」を受け止め、「次」につなげることをミッションとして掲げています。

安心して相談できる・話せる・社会とのつながりを届ける
風テラスの活動

性風俗で働く人が仕事のことを隠さずに法律や生活の悩みを相談できる窓口を中心に、社会から届けられていない支援やつながりを届ける活動をおこなっています。

安心して相談できる専門家の窓口SNS・電話・対面相談

性風俗で働く人々が職業を理由に判断されることなく、安心して法律・福祉の専門家に相談できる窓口です。借金や法的トラブルは弁護士が、生活や医療、心の悩みはソーシャルワーカーが担当。一人ひとりの状況に合わせて、解決に向けて寄り添っています。

2024年の相談者数

のべ4,939

SNS・電話・対面、様々な形で相談を実施しています

  • 当事者に法律・福祉の情報を届けるコンテンツ制作

    一人でも多くの性風俗で働く方に、私たちの窓口の存在や適切な法律・福祉の情報を伝えるため、マンガやコラムの作成、SNS投稿などを行っています。

  • 当事者が安心して話せる場をつくる居場所づくり

    当事者が安心してプライベートな事や自分の気持ちを語り合えるオンラインのしゃべり場を開催しています。

  • 社会からの偏見や無理解を変える研修・講演・メディア出演

    性風俗の世界で困窮する方の支援や理解を広げる研修やイベントなどを展開しています。 また、新聞・テレビ、雑誌、学術誌などへの取材協力も行っています。

風テラスとつながった方々の声

SNSで風テラスを知り、仕事や生活で困ったことがあったタイミングで、初めて相談しました。
風テラスにつながって、「依存先ができた」と感じています。それまで仕事について相談できる人は誰もいなかったし、収入が不安定な仕事で心落ち着きなかったです。
困ったときに話せる場所ができたことで、気持ちが少し楽になりました。
夜の仕事のことは、他で話してもなかなか分かってもらえない。
周囲には同じような仕事を経験したことがある人もいないし、店で働く女の子同士の交流はないし、役所に相談しても困られるだけだと思うんです。
「夜職の皆さんは、一人で悩まないでぜひ風テラスに頼ってください」と伝えたい。

30代・女性

元々昼職をしていましたが、離婚や病気もあり、精神的にも金銭的にもかなり厳しくなって夜職を始めました。家族を助けたいという使命感でした。
風テラスに相談したところ、生活保護申請を勧められ、当初は迷いもありましたが、気持ちの面でも丁寧にサポートしてもらえたことで、無事受給に至りました。
今は、体調も少しずつすが落ち着いてきて、前向きに就職活動に取り組んでいます。
先日は、風テラスでキャリアコンサルタントさんに就職活動や履歴書作成に関して相談する機会をいただき、通話だけで自分の強みを見つけてくださったことに感動しました。短時間のモニターでしたが、本当は職務経歴書についても相談したかったです。
風テラスにつながってから、対人関係の持ち方、金銭感覚、社会の見え方などが良い意味で大きく変わったし、人間関係を構築する基盤となるものができた気がします。
育った家庭環境や金銭面では苦労した分、これからは人の能力を開花させ、人のつながりを循環させられる人になりたいです。

30代・女性

学生時代、生活費や学費の工面に困り、出会い系アプリ等で個人営業を始めるようになった。
しかし、危険と隣り合わせでお金を稼ぐ生活に、心身ともに限界に。
そのようなとき、風テラスのX(旧Twitter)に連絡。都内で対面相談を受けた。
相談員からは、「お金のことで死なないでほしい」「社会人になったら、生活は絶対に上向くはずだから、もう少し頑張っていこう」と励まされ、誰にも相談できずに孤立していた自分の気持ちをあたたかく包んでくれた。
今は、一般企業で充実して働く毎日であり、あの時の大変な日々が遠く感じることもある。
風テラスの相談室で、適切な大人に適切なアドバイスをしてもらったことは、自分にとって重要な経験だった。
家族や恋愛、売春の現場で、たくさんのまともじゃない大人を見てきたからこそ、今、渦中にいる人に対しては「まともな大人を見つけること、そのような人に出会えることをあきらめないでほしい」と伝えたい。

30代・女性

風俗は孤独だし、お金や精神面で悩むことは多いです。
同じお店で働く人とはライバルになるから話せません。
女性同士でおしゃべりができる場、オフ会のようなものがあればいいなとはずっと思っていました。「女の子たちの60分フリー」にもまた参加したいです。

40代・女性

誰からも否定されることなく、共感に包まれ、存在を肯定してくれる時間です。ここに来るまでも、その先も、きっと辛いことはづつくかもしれません。それでもこの時間は「生きていていいんだ」とそっと伝えてくれるのです。心の避難所のような場所です、1人じゃないんです。

私は別の自助会にも通っていますが、自分の職業は伏せているため本音をすべて共有できていないような感覚がありました。普段はだれにも話せないようなことを話せて気持ちが楽になりました。このような会が広がっていけば救われる女の子も増えるのではないとも思いました。また参加させていただきたいです。

えりかさん

活動で大切にしていること

気持ちに寄り添う

私たちのところには、さまざまな局面で不安を感じ、傷ついた方がたくさん訪れます。そうした方々の傷つきを受け止めるところから私たちの相談はスタートしています。相談者が少しでも前を向けるように、相談者に寄り添う支援を大事にしています。

フラットな価値でのぞむ

世の中には、性風俗に対する偏見を助長する情報などが溢れています。私たちは夜の世界で働くことを否定も肯定もしません。もし、そのような選択をした場合に、安全・安心して働くために本人とつながることも大事にしています。同時に、メディアや社会によって無意識のうちに醸成された性風俗に対する偏見をときほぐすために働く人の実像も社会に発信しています。

連携する・広げる

私たちだけでは、相談者を支えることはできません。相談者がより良い人生を送れるためには、行政や他の民間団体、そして社会の一員である皆さんとの連携が欠かせません。そのために積極的に団体の情報も公開し、連携に向けて活動しています。

代表メッセージ

約10年前、私が風俗で働く方の相談支援に携わったのはただの偶然でした。当時は特別この分野に関心があったわけではないのが正直なところです。
しかし、相談を始めてみると、複雑な事情を抱え、簡単には解決できない状況にある方々に多く出会いました。そして、その要因は相談者が作ったものではなく、さまざまな社会的背景に起因するものであることに気づきました。
同時に、そうした社会的背景があるにもかかわらず、「自己責任」として困難を抱えた人を夜の世界に追いやり、臭いものに蓋をするかのように存在を不可視化している社会に理不尽さを覚えました。
私たちと夜の世界で働く人たちを隔てるものはなんでしょうか。
仮に、隔てるものがあったとして、夜の世界で働く人が支援に繋がれない理由にはならないはずです。
私たちはどんな人であっても必要な時、必要な支援に繋がれる社会を目指しています。それは言い換えれば困ったときに助けを求められる社会を意味します。
私たちはちょっとしたきっかけで簡単に困難な状況に陥ります。そんなとき「困った!」「助けて」と言って助け合える、そんな暖かい社会をぜひ一緒に作っていきましょう。

特定非営利活動法人 風テラス 理事長 徳田 玲亜

団体情報

名称 特定非営利活動法人 風テラス(風テラス)
所在地 東京都豊島区巣鴨1丁目9番1号 グランド東邦ビル1F
開始日・設立日 2015年10月 東京都内にて弁護士、ソーシャルワーカーによる相談会を開始
2022年 4月18日 NPO法人化(設立認証4月12日)
役員 理事長 徳田玲亜(弁護士)
副理事長 中島満香
理事 橋本久美子(社会福祉士・精神保健福祉士)
理事 松本卓(医師)
監事 鈴木晶子(臨床心理士・NPO法人パノラマ理事)
アドバイザー 鈴木愛子(弁護士・社会福祉士)
三上早紀(弁護士)
定款 定款
情報公開
規程資料

受賞歴

パブリックリソース財団2024年度女性リーダー支援基金受賞

SDGs岩佐賞【平和・人権の部】

新潟県弁護士会人権賞

メディア掲載

日弁連機関紙『自由と正義』巻頭コラム 「日影に風を~風テラス~」

アムネスティインターナショナル機関誌にて、ホスト依存の記事協力

毎日新聞コラム「24色のペン」に取材協力

助成実績

日工組社会安全研究財団・安全事業助成(広域安全事業助成2025年度)採択

休眠預金活用事業 自殺ハイリスク領域におけるゲートキーパー育成&アウトリーチ支援事業(2024年度・通常枠、2025年5月~2028年2月予定)

休眠預金活用事業 孤立孤独/生活苦を抱える若者への緊急支援事業(2023年8月~2024年2月)〜新たなアウトリーチ手法の活用で、「受援力」の壁を超える〜実行団体
実行団体全体レポート

公益財団法人ウェスレー財団ソーシャルジャスティス活動助成金(2023年度実施事業)
実施事業:風俗の世界で孤立・困窮する女性に福祉と法的な支援を届けるSNS相談事業

「ファイザープログラム~心とからだのヘルスケアに関する市民活動・市民研究支援」

厚生労働省・生活困窮者及びひきこもり支援に関する民間団体活動助成事業

SUPPORT

ご寄付のお願い

一人でも多くの方に

安心と選択肢を届けたい

私たちの活動は、皆様からのご支援で成り立っています。
年々増加する相談に応え、より多くの人を支える活動を広げるために、今、あなたのご支援が必要です。

LECTURE

講演・講義・研修依頼について

「夜の世界で働く女性の支援」 「性風俗と福祉をつなぐ」「司法と福祉の連携」などのテーマでの講演、
行政やNPO等での研修、大学等での講義、シンポジウムの登壇依頼を、随時受け付けております。

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