風テラス・インターンの声①Hさん(20代女性・大学院生)

日々風テラスに寄せられるご相談に向き合っていると、風俗の世界で働いていない人たちから見ると「なぜ?」「どうして?」と思う場面に頻繁にぶつかります。

私も、風テラスのインターンを始めた頃は、相談者の方々のお話を聞きながら

「なぜ、そこでその選択をしてしまったの?」

「こっちの道を選んだ方が、あなたにとってきっと良い結果になるはずなのに、なぜそっちを選んでしまうの?」

「あの時、それをしていなければ、今のようにはならなかったのに・・・」

といった気持ちが湧いてくることも少なくありませんでした。

しかし次第に、相談者の方は自分なりにその場その場でベストを尽くして行動しており、第三者から見ると「なぜ?」と思われるような判断であっても、ご本人にとっては合理的な判断である、ということが分かってきました。

そして、相談者の方の事情を詳しく伺っていくにつれて、最初に抱いた「なぜ?」という疑問が解消されていくこともあります。

「そういうことだったんですね」

「それなら、しかたないですよね。これまで本当に苦労してこられたんですね」

と思う場面にも、たくさん出会ってきました。

風俗の世界やそこで働く女の子の「常識」は、一般的な社会の「常識」とは異なっていることが少なくありません。

そうした「常識」を理解できない人=風俗の世界やそこで働く女の子の事情を詳しく知らない人、そもそも風俗に対して偏見や敵意を持っている人にとっては、女性から相談を受けても「なぜ?」で止まってしまい、「そんなところで働いているあなたが悪いんでしょう」「全て自己責任、自業自得じゃないか」と片付けられてしまいがちなのかなと思います。

正直なところ、風俗の世界やそこで働く女の子の「常識」は、万人から理解が得られるものではない、と私は思っています。

風俗業界は、ただでさえ世間の理解が得られにくい業界であり、そこで働く女の子たち自身も、自分たちに偏見の目が向けられていることは、重々承知していると思います。

また、相談者の方ご自身も「こうなってしまったのは、私のせい」と思い込んでしまわれている場合がたくさんあります。

そのため、私までもが、相談者の方々に対して、審判や断罪をする立場に回ってはいけない。あくまでフラットにお話を聞ける存在でありたいと思っています。

風テラスの相談の場は、相談者の方にとって、自分の気持ちを話せる場でありたい。そう考えながら、日々相談者の方々に向き合っています。

偉そうに語ってしまいましたが、私は風俗業界について全部知っているわけでも、完璧に相談者の方々に向き合えるわけでもありません。

事務局の坂爪さんを始め、弁護士やソーシャルワーカーの相談員の皆さん、同期のインターンにたくさん助けられながら、なんとか日々の業務ができています。

これからもみんなで考え、みんなで悩み、頑張っていけたらと思っています。

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